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2−3.局部空洞形成条件の選定
今回のメガフロートの洋上接合では、板厚12mmの鋼板の突合せ溶接が要求されていた。100m規模のユニットの突合せであるため、溶接開先部でのある程度のルートギャップ幅のや目違いなどの形状誤差は避けられない。昨年の洋上接合の計測結果を基に、45度のV開元でルートギャップ幅5mmを基準にし、ギャップ幅の許容誤差を±5mm、目違いが3mmまでの条件範囲内で、良好な溶接継手が得られる溶接手法の開発を目的として実験を行った。Fig.4に検討した要素を示す。水カーテンノズルは過去の経験をもとに試作し、実験結果を検討しながら、必要に応じて修正と改良を加えた。母材には観察の利便性のためアクリル板を所定の形状に加工し、ルートギャップ幅と目違い量を変化させて、その形状に対して適正な、ノズル高さ、シールドガス流量と水カーテン流量を検討した。

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Fig.4 Effect of parameters which affect local dry cavity

Fig.5にシールド条件の観察方法を示す。、側面及び裏面からビデオカメラで溶接開先内部でのシールド状態を観察し、シールド条件の可否を決定した。また、実際の溶接ではウィービングを実施するため、最終的には溶接実行時と同じ条件でノズルを揺動させてシールド状態を観察した。

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Fig.5 Schematic of watching local dry cavity

2−4.溶接特性の検討
安定な局部空洞の形成条件を明らかにした後、実際に小型水槽内で水中溶接を実施し、溶接性と継ぎ手性能を検討した。Fig.6に実験装置の概念図を示す。用いた試験片の大きさは500mmL×200mmWであり、所定の開元精度にセットした後、共当金を裏面に溶接し、更に拘束板を溶接して変形を防止した。母材には軟鋼材を用い、ワイヤには典型的な半自動ソリッドワイヤとしてMG50とMG50丁、フラックス入ワイヤとしてSF-1を用いた。ワイヤの直径は1.2mmとした。まず、これらのワイヤを用いて標準条件で水中溶接し、アークの安定性、ビード外観、断面形状、スラグの付着状況などを調査した。つぎに、電圧、電流の影響や開元設定誤差などの溶接条件の影響について詳細に検討した。X線試験と断面マクロの観察と硬さ試験および表曲げ裏曲げ試験を実施した。また、実海域での実施を念頭に、トラベラ走行の異常や水カーテンの消失など溶接中の突発的な外乱の影響についても検討した。

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Fig.6 Schematic of experimental apparatus

2−5.モックアップテストとメガフロートヘの適用
実際にメガフロートに適用するための問題点を明らかにするために、縦横3m深さ2mの実験水槽の水深50?の位置に設置した大型試験片を水中溶接した。現在実施しているメガフロートの水中溶接部の水深は約50cmであるため、溶接装置本体は水面上に設置し溶接ノズルのみを淡水させて溶接を行う半淡水式を採用した。システムの剛性や倣い精度の影響を検討するために水中ビデオを用いて溶接状況を監視した。以上実施した実験室における研究結果を元に、メガフロートで水中溶接を行うための半淡水式水中溶接機を開

 

 

 

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